日本刀は神聖なものです。現代の私達日本人ですら、その存在は異質なものです。

何故なら、機能美という点においては世界的に優れていると言っても、それはただの武器としてしか捉えられないでしょうが、今では安易に扱う人が少なくありません。私は何十年も使用しているので、その恐ろしさは体験的にわかっているつもりでも、実は多くを理解していないのかもしれません。

日本刀は美術工芸品として、法律で定められ、その扱い、所有には国の許可が必要です。すべての刀に登録書が必要です。これは日本刀の全てに必要なものです。登録証は、日本刀として作られたものにしか与えられません。ただ鉄をグラインダーで鋭くしたものに登録証は付きません。それは、プロが見ればすぐに分かるのです。1年に4回審査会があります。そこでプロが見て、日本刀と判断されれば登録証が交付され、それ以外は没収となります。

登録証と日本刀は、日本の法律では一緒に持っていなければなりません。それがなければ、法律で罰せられます。扱いは銃と一緒ですが、刀のほうがより簡単です。何故なら、日本の法律上、銃を所持するのはとてもハードルが高く、扱うのもより時間がかかります。そして法律で限定されている人しか持てないのです。それに比べて日本刀は、法律上分類としては銃と同じ許可証なのですが、誰でも購入することができます。

一般的な刃物の研ぎ方は刃に対して縦方向に研いでいきますが、日本刀は横に研ぎます。それは日本刀の材質に対する切れ味を有効にするための刃の付け方となっています。

日本刀はよく、「折れず」「曲がらず」「よく斬れる」と言いますが、それは矛と盾のようなものです。日本刀はとても硬いのですが、なおかつ柔軟性があります。構造上古来よりそう作られています。カミソリはよく切れますが、簡単に折れてしまいます。針金は固くないものの、グニャグニャ曲がります。

日本刀はその2つの性質を兼ね備えています。中に芯金という柔らかい金属を入れ周りを硬い金属で覆い、何度も折り返して叩き、空気に触れさせないようにしながら、不純物を出していきます。今も日本刀は作られていますが、昔の製法は今でも実はわかっていないのです。

科学的に何度も検証されていますし、現代の刀工もそれを再現しようとしていますが、未だに出来ていません。日本刀の作刀には国家資格が必要です。そして、月に2振りしか作ることが出来ない法律があるので数はそんなに増えては行きません。原材料も高く、一振り作るのに何日もかかります。すべてが手作業で職人の技です。

さて、刀の切れ味に話を戻しますが、刀の扱い方はテクニックと言いましたが、基本的には刃物ですので、引いて切ります。日本の刃物は引き切りです。のこぎりの扱い方に日本と西洋では違いが見られます。西洋ののこぎりは押しますが、日本の場合は引きます。

斬りに行くという観点で行けば、相手に攻めていくので押して切るのですが、対象物に当たってから、手の握りを軽くキュッと絞っていきますが、斬っていって、硬い対象物に当たった時に引く形になります。刀を引く形になるのです。日本刀の扱いはちょっとコツが必要なのです

試し斬りの対象物は畳の表面を水につけたものです。明治時代以前の試し斬りは、罪人の死体を使用していました。しかし、それは残忍だということで、今は殆ど畳表を使用します。豚肉の塊などを使用する場合もありますが、私は見たことがありません。この畳表で、おおよそ人間の腕や足の硬さと同じと言われています。これを切ることができれば、腕や足を切り落とすことができるということです。イメージすると恐ろしいですね。

私の流派では、基本的に試し斬りはしません。ただ、個人的に実際切れるかどうかテストしているだけです。そのテクニックは少しだけ教えてもらいましたが、20年以上居合道の稽古をしているので、そのテクニックを得るのは難しくはありませんでした。しかし、よく斬れる刃物だということ、道具として使用するのではなく、作り手がいかに苦労して作ったかを想像します。

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